2019年法律改正情報

関税法施行令

(1)特例申告をすることができない貨物の追加

申告の特例を適用しない貨物

第4条の3
法第7条の2第4項(申告の特例)に規定する政令で定める貨物は、関税暫定措置法(昭和35年法律第36号)第7条の6第1項(生きている豚及び豚肉等に係る関税の緊急措置)に規定する生きている豚及び豚肉等並びに同法第7条の8第1項(経済連携協定に基づく特定の貨物に係る関税の譲許の修正)に規定する修正対象物品(同法別表第1の6に掲げる物品を除く。)とする。

→関税暫定措置法7条の8第1項参照

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(2)延滞税の免除事項の追加

延滞税の免除の手続等

第9条3項
法第12条第8項第3号ハに規定する政令で定める場合は、次の各号に掲げる場合とし、同号ハに規定する政令で定める期間は、それぞれ当該各号に定める期間とする。
差し押さえた不動産(国税徴収法(昭和34年法律第147号)第89条の2第1項(参加差押えをした税務署長による換価)に規定する換価執行決定(以下この号において「換価執行決定」という。)がされたものに限る。)の売却代金につき交付を受けた金銭を当該差押えに係る関税に充てた場合当該換価執行決定をした同法第2条第13号(定義)に規定する行政機関等が滞納処分(その例による処分を含む。)において当該売却代金を受領した日の翌日からその充てた日までの期間
火薬類の爆発、交通事故その他の人為による異常な災害又は事故により、納付すべき税額の全部若しくは一部につき申告をすることができず、又は関税を納付することができない場合(その災害又は事故が生じたことにつき納税義務者の責めに帰すべき事由がある場合を除く。)その災害又は事故が生じた日からこれらが消滅した日以後7日を経過した日までの期間

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(3)「締約国原産品申告書等」の表現の汎用化

①外国貨物を置くことの承認の申請

これまでオーストラリア協定のみが原産品申告書等により原産地を証明できたが、さらに環太平洋協定等についてもできるようになったため「締約国原産品申告書等」とし規定された。

第36条の3第3項(蔵入承認の場合)
第1項の承認を受けようとする者は、当該承認を受けようとする貨物につき第61条第1項第2号の便益の適用を受けようとする場合にあつては、当該承認の申請の際(税関長が災害その他やむを得ない理由があると認める場合には、その申請後その理由により相当と認められる期間内)に、同号イ(1)に規定する締約国原産地証明書又は同号イ(2)に規定する締約国原産品申告書等を税関長に提出しなければならない。この場合においては、同条第4項の規定にかかわらず、当該貨物の輸入申告の際には、当該締約国原産地証明書又は締約国原産品申告書等の提出を要しない。

第51条の12第3項(総保入承認の場合)
第1項の承認を受けようとする者は、当該承認を受けようとする貨物につき第61条第1項第2号の便益の適用を受けようとする場合にあつては、当該承認の申請の際(税関長が災害その他やむを得ない理由があると認める場合には、その申請後その理由により相当と認められる期間内)に、同号イ(1)に規定する締約国原産地証明書又は同号イ(2)に規定する締約国原産品申告書等を税関長に提出しなければならない。この場合においては、同条第4項の規定にかかわらず、当該貨物の輸入申告の際には、当該締約国原産地証明書又は締約国原産品申告書等の提出を要しない。

②輸出申告又は輸入申告の内容を確認するための書類等

環太平洋協定等の発効に伴う改正

第61条1項2号
経済連携協定(新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定(第6項において「シンガポール協定」という。)、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定、経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定、戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定、経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(以下この号において「インドネシア協定」という。)、経済上の連携に関する日本国とブルネイ・ダルサラーム国との間の協定、包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定(以下この号において「東南アジア諸国連合協定」という。)、経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定、日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定、経済上の連携に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定、日本国とインド共和国との間の包括的経済連携協定、経済上の連携に関する日本国とペルー共和国との間の協定、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定、経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下この号において「環太平洋包括的及び先進的協定」という。)又は、経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定をいう。(以下この号において同じ。)における関税についての特別の規定による便益を適用する場合 次に掲げる書類
当該貨物が経済連携協定の規定に基づき当該経済連携協定の締約国の原産品とされるもの(以下この号において「締約国原産品」という。)であることを証明した又は申告する書類(税関長が貨物の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた貨物(インドネシア協定又は東南アジア諸国連合協定における関税についての特別の規定による便益の適用を受けるものを除く。)及び課税価格の総額が20万円以下の貨物に係るものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの
(1)
当該貨物が締約国原産品であることにつき、経済連携協定の規定に基づき、協定締約国の規定に基づき、協定締約国の権限ある当局(協定締約国から輸出される貨物が締約国原産品であることを証明する書類の発給又は当該書類の作成をすることができる者の認定に関して権限を有する期間をいう。)が証明した書類又は当該書類の作成をすることができる者として当該権限ある当局の認定を受けた者が証明した書類(いずれも環太平洋協定に係るものを除く。以下この条においてこれらの書類を「締約国原産地証明書」という。)
(2)
当該貨物が締約国原産品であることを申告する書類であつて経済連携協定の規定に基づき作成されたもの(環太平洋協定第3章(原産地規則及び原産地手続)附属書3―A7(その他の制度)に規定する書類を含む。第5項において「締約国原産品申告書」という。)及び当該貨物の契約書、仕入書、価格表、総部品表、製造工程表その他の当該貨物が当該締約国原産品であることを明らかにする書類(税関長がその提出の必要がないと認めるときを除く。)(第4項においてこれらの書類を「締約国原産品申告書等」という。)

経済連携協定の原産地の証明方法等

経済連携協定の原産地の証明方法等
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当該貨物が締約国原産品であつて、かつ、経済連携協定の我が国以外の締約国(当該締約国の関税に関する法令が施行されている当該締約国以外の国を含む。以下この号において「締約国」という。)から当該締約国以外の地域(以下この号及び第7項において「非原産国」という。)を経由しないで本邦へ向けて直接に運送されたもの(以下この号において「直接運送品」という。)以外のものである場合(当該貨物が東南アジア諸国連合協定附属書4第3規則4(a)の規定により連続する原産地証明書の発給を受けた締約国原産品であつて、かつ、当該連続する原産地証明書を発給した国から当該国以外の地域を経由しないで本邦へ向けて直接に運送されたものである場合を除く。)にあつては、当該貨物が次のいずれかに該当するものであることを証する書類として、当該締約国から本邦の輸入港に至るまでの通し船荷証券の写し、当該貨物について積替え、一時蔵置若しくは博覧会等への出品がされた当該非原産国の税関その他の権限を有する官公署が発した証明書又はその他税関長が適当と認める書類(課税価格の総額が20万円以下の貨物に係るものを除く。第7項及び第8項において「運送要件証明書」という。)
(1)
当該締約国から非原産国を経由して本邦へ向けて運送される貨物で、当該非原産国において積替え及び一時蔵置(当該非原産国の保税地域その他これに準ずる場所において当該非原産国の税関の監督下で行われるものに限る。)以外の取扱いがされなかつたもの
(2)
当該締約国から非原産国における博覧会等への出品(当該非原産国の保税地域その他これに準ずる場所において当該非原産国の税関の監督下で行われるものに限る。)のため送り出された貨物で、当該非原産国から本邦に送り出されるもの(当該貨物の当該非原産国から本邦までの運送が直接運送品又は(1)に該当する貨物に係る運送に準ずるものである場合に限る。))
当該貨物が経済連携協定の規定に基づき当該経済連携協定における関税についての特別の規定による便益の適用を受けることができる品目に該当するものであることにつき証明を必要とするものである場合にあつては、当該貨物が当該便益の適用を受けることができる品目に該当するものであることを証する書類(当該証明が締約国原産地証明書により行われる場合を除く。第4項において「締約国品目証明書」という。)

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(4)締約国原産地証明書等の提出時期と有効期間

第61条4項
締約国原産地証明書、締約国原産品申告書等及び締約国品目証明書は、これらに係る貨物の輸入申告又は法第76条第1項ただし書(郵便物の輸出入の簡易手続)の検査その他郵便物に係る税関の審査の際(税関長が災害その他やむを得ない理由があると認める場合又は当該貨物につき法第73条第1項(輸入の許可前における貨物の引取り)に規定する税関長の承認を受ける場合には、その申告又は審査後相当と認められる期間内)に、提出しなければならない。ただし、締約国品目証明書は、これに係る貨物の課税価格の総額が20万円以下である場合にあつては、税関長の求めがあつたときに提出すれば足りる。

第61条5項
締約国原産地証明書及び締約国原産品申告書は、これらに係る貨物の輸入申告の日(法第76条第1項に規定する郵便物にあつては、同条第3項の規定による提示の日)において、その発給又は作成の日から1年以上を経過したものであつてはならない。ただし、災害その他やむを得ない理由によりその期間を経過したものであるときは、この限りでない。

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関税暫定措置法

(5)経済連携協定に基づく特定の貨物に係る関税の譲許の修正

修正対象物品

第7条の8第1項
修正対象物品(経済連携協定において、当該経済連携協定の規定に基づき関税の譲許の便益の適用を受ける物品のうち当該経済連携協定に定められた期間に係る当該物品の輸入数量が当該経済連携協定に定められた一定の数量を超えた場合に当該物品の関税の譲許の適用を停止し、又はその譲許を修正することができると定められた物品であつて政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)について、経済連携協定の規定に基づき、当該経済連携協定に定められた期間に係る修正対象物品の輸入数量(当該経済連携協定に別段の定めがあるときは、その定めるところにより、政令で定める輸入数量。第3項及び第4項において同じ。)が、当該経済連携協定に定められた当該修正対象物品に係る一定の数量としてあらかじめ財務大臣が告示等をする数量(同項において「輸入基準数量」という。)を超えた場合には、当該修正対象物品のうち、その超えることとなつた月の翌々月の初日からその超えることとなつた月の属する年度の末日までの期間(当該経済連携協定に別段の定めがあるときは、その定めるところにより、政令で定める期間。第1号及び同項において「発動期間」という。)内に輸入されるものに課する関税の率は、次に掲げる当該修正対象物品に係る税率のうち最も低いものとする。
発動期間の開始の日における実行税率
当該経済連携協定が日本国について効力を生ずる日(当該経済連携協定に別段の定めがあるときは、その定めるところにより、政令で定める日)の前日における実行税率
当該経済連携協定に定められた税率として政令で定める税率

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(6)更正の請求の特例

第12条の2
納税申告(関税法第7第1項(申告)の規定による申告又は同法第7条の14第1項(修正申告)の規定による修正申告をいう。以下この条において同じ。)をした者は、当該納税申告に係る貨物(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「環太平洋包括的及び先進的協定」という。)の規定に基づき環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされる貨物に限る。)について環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該貨物につき当該譲許の便益の適用を受けることにより、当該納税申告に係る納付すべき税額(当該税額に関し同法第7条の16第1項又は第3項(更正及び決定)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の税額)が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から1年以内に限り、政令で定めるところにより、税関長に対し、当該納税申告に係る税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)について同法第7条の15第1項(更正の請求)の規定による更正の請求をすることができる。

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(7)賦課決定の請求

第12条の3第1項
関税法第6条の2第1項第2号(税額の確定の方式)に規定する賦課課税方式が適用される貨物を輸入した者は、同法第八条第一項(賦課決定)の規定により、税関長が環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づく関税の譲許の便益を適用しないで当該貨物(環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づき環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされる貨物に限る。)の関税に係る納付すべき税額の決定をした場合において、当該貨物につき当該譲許の便益が適用されることにより、当該決定に係る納付すべき税額(同条第3項の規定による決定があつた場合には、当該決定後の税額)が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日(同号ロに規定する郵便物にあつては、日本郵便株式会社から交付された日)から1年以内に限り、政令で定めるところにより、税関長に対し、当該決定に係る税額の変更について同条第3項の規定による決定をすべき旨の請求をすることができる。

第12条の3第2項
税関長は、前項の規定による決定の請求があつた場合には、その請求に係る貨物が環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づき環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされるものであるかどうかその他必要な事項について調査しなければならない。
第12条の3第3項
税関長は、前項の調査をした場合において、関税法第8条第3項の規定による決定をしないときは、当該決定をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。

第12条の3第4項
第1項の請求に基づく関税法第八条第三項の規定による決定により納付すべき税額が減少した関税(当該関税に係る延滞税を含む。)に係る過納金について同法第13条第2項(還付及び充当)に規定する還付加算金を計算する場合における同項の規定の適用については、同項第2号中「更正の請求に基づく更正」とあるのは「関税暫定措置法第12条の3第1項(賦課決定の請求)の請求に基づく賦課決定」と、「その更正の請求」とあるのは「その請求」と、「当該更正」とあるのは「当該決定」とする。

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