2021年法律改正情報

関税法

(1)特例基準割合

・特例基準割合の名称変更

 地方税法の改正により、適用対象に応じた固有の特例基準割合の名称(延滞税特例基準割

 合、猶予特例基準割合等)が定義される。

・租税特別措置法93条2項の規定に基づく、令和3年の平均貸付割合の告示⇒0.5%

 (※令和2年の告示は0.6%であった。)

・各特例基準割合について

①延滞税特例基準割合

 延滞税特例基準割合=平均貸付割合+1%=1.5%

 令和2年=1.6%➡令和3年1.5%

 ・延滞税率(7.3%の部分)

  令和3年=延滞税特例基準割合+1%=2.5%

 ・延滞税率(14.6%の部分)

  令和3年=延滞税特例基準割合+7.3%=8.8%

  e・g・計算問題の場合、例年「…延滞税の税率は、年2.5%(当該関税の納期限の翌日

  から2月を経過する日後は年8.8%)として計算するものとする」というような指示があ

  る。

②猶予特例基準割合

 猶予特例基準割合=平均貸付割合+0.5%=1.0%

 e・g・延滞税額の2分の1が免除される場合

  ・滞納処分の財産の換価を猶予した場合

  ・不服申立てにより関税の徴収に関する処分の執行停止をした場合

  ・差押えをし、又は担保の提供を受けた場合

  ➡納期限の翌日から2月経過する日以後において、一定の期間に対応する延滞税額のう

   ち猶予特例基準割合により計算した特例延滞税額を超える部分が免除の対象になる。

③還付加算金特例基準割合

 還付加算金特例基準割合=平均貸付割合+0.5%=1.0%

(2)時効の完成猶予と時効の更新

・改正民法の施行に伴う変更

 時効の停止➡時効の完成猶予一定事由の発生による時効完成の一定期間の猶予

 時効の中断➡時効の更新一定事由の発生による新たな時効の進行

・時効の完成猶予と時効の更新の対比

時効の完成時効の更新
①更正又は決定更正又は決定により納付すべき関税の納期限までの期限納期限を経過したとき
②過少申告加算税賦課決定により納付すべきこれらの関税の納期限までの期間納期限を経過したとき
③納税に関する告知告知に指定された納付に関する期限までの期間納付に関する期限を経過したとき
④督促督促状又は納付催告書を発した日から起算して10日を経過した日までの期間
※差押えがされた場合には差し押さえられた日
督促状又は納付催告書を発した日から10日を経過したとき
※差し押さえられた日を経過したとき
⑤交付要求交付要求がされている期間交付要求が成されなくなったとき
(国税通則法73条より)

(3)補正に関する押印規定の削除

 納税申告に係る貨物の輸入許可前にする修正申告

 ↓

 先の納税申告に係る書面に記載した税額等を補正することにより行うことができる(関税

 法7条の14第2項)。

 ↓ 

 補正により修正申告を行う場合は、税関長にその旨を申し出て当該納税申告に係る書面の

 交付を受け、当該書面に記載した課税標準及び税額その他関係事項の補正をして、これを

 税関長に提出しなければならない。

 (補正をした箇所への押印を必要とする旨の規定の削除)

(4)災害による期限の延長

 関税法2条の3(災害などによる期限の延長)

 当該災害などの止んだ日から2月以内に限り、期限を延長できる。

 ↓

 関税法2条の3に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場

 合、次の延長が可能である。

    ①地域指定による期限延長(関税法施行令1条の4第1項)

 NEW②対象者指定による期限延長(NACCSの使用不能により多くの人が申請ができない

     場合など)(関税法施行令1条の4第2項)

 NEW③個別指定による期限延長(申請による)(関税法施行令1条の4第3項、4項)

(5)納付委託

・入国者の携帯品等に係る関税などのキャッシュレス納付が可能になった(関税法9条の5~9項の9)

 (納付委託の一巡)

 ①入国者(納税者)による携帯品等の輸入申告

 ②税関長による納税告知等の交付

 ③入国者によるキャッシュレス決済(納付委託)

 ④納付受託者(カード会社等)による決済情報送信(インターネット経由)

 ⑤納付受託者による関税等の納付

 ⑥納付受託者から入国者への請求

 ⑦口座引落

・納付受託者(関税法9条の6、施行令7条の3)

 納付事務を適切かつ確実に実施することができると認められる者でかつ次の要求に該当す

 る者として財務大臣が指定する者

 ①納付受託者として納付事務を行うことが関税の徴収の確保及び納税者の便益の増進に寄

  与するとみとめられること

 ②納付事務を適正かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものとし

  て財務省令で定める基準を満たしていること

 指定したとき➡財務大臣は、公示義務がある。

・納税者が納付委託できる場合(関税法9条の5第1項)

 次のいずれにも該当する場合に納付委託できる。

 ①当該関税の税額が財務省令で定める金額以下である場合

 ②インターネットその他の高度情報通信ネットワークを使用して行う納付委託者に対する

  通知で財務省令で定めるものに基づき納付しようとする場合

 ➡納付受託者が納付手続の受託をした日に関税の納付があったものとみなす。

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通関業法

通関業務の在宅勤務開始手続の見直し等

①在宅勤務の開始における税関への申出の際の税関側確認事項の変更

 改正前:就業規則・社内管理規則の具備の確認

 改正後:さらに在宅勤務における情報セキュリティ対策が講じられていることの確認

②サテライトオフィスにおける通関業務の実施

 災害その他やむを得ない理由により、通関士・従業者が事業継続のため営業所以外の場所

 (サテライトオフィス)において通関業務に従事する必要があると認めるとき、当該理由

 があると認める間に限り、サテライトオフィスにおいて通関業務を実施可能。

③サテライトオフィスにおける通関業務の開始・終了の申出

 在宅勤務の開始・終了と同時に税関への申出が必要

 ※➀の確認事項も同様

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EPA比較

原産地の証明方法の比較

TPP
日EU協定
日英協定
日米貿易協定
オーストラリア協定メキシコ・
ペルー・
スイス協定
その他の
EPA
原産地証明書×
認定輸出者による自己証明×××
原産品申告書××

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NACCS法関連

法律名の変更

改正前:行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律

改正後:情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(情報通信技術活用法)

※電子所法処理組織による輸出入等関連業務の処理には情報通信技術活用法が適用される。

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