片山立志先生の通関士合格ポイントコラム 第38回
皆さんこんにちは、片山立志です。
今回は、審査請求に対する財務大臣の裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができないものを判断する問題です。
問題
【次の文章を読み、○か✕か答えなさい。】
輸入しようとする貨物が公安又は風俗を害すべき書籍に該当すると認定した旨の税関長の通知の取消しの訴えは、当該通知についての審査請求をすることなく、取消しの訴えを提起することができる。
解答・解説
正解は、「×」です。
関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関長の処分に不服がある者は、税関長に対して「再調査の請求」を行うことができます。再調査の請求した場合は、税関長の決定があるものですが、これになお不服だという場合、財務大臣に対する審査請求を行うこともできます。また、申立人は再調査の請求を行わず、財務大臣に対し、直接審査請求を行うことも選択できます。これが不服申立制度の概要です。
これに関連して、裁判所への訴訟の提起についても定められています。税関長の処分に不服がある場合、申立人は原則として、不服申立て(審査請求)を経ないで裁判所への訴訟を提起することができます。裁判所への訴訟の提起は、原則として不服申立てを経ないで行える、ということに要注意です。そして、この裁判所への訴訟の提起の手順には例外があり、審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起することができないものがあります。この例外に該当するのは「関税法93条1号及び2号に掲げる処分」についてであるとされており、本問は、税関長の通知の取消しがこの例外に該当するか否かを問う問題なのです。
具体的には、次の訴えが、審査請求に対する裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができないものに該当します。
①関税の確定若しくは徴収に関する処分又は滞納処分(国税徴収の例により関税を徴収する場合における滞納処分をいう。)の取消しの訴え
②関税法69条の2第3項(輸出してはならない貨物)又は69条の11第3項(輸入してはならない貨物)の規定による次の通知の取消しの訴え
ア) 児童ポルノに該当すると認めるのに相当の理由がある貨物である場合に行う税関長の輸出者に対する通知(関税法69条の2第3項の規定による通知)の取消しの訴え
イ) 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品、又は、児童ポルノに該当すると認めるのに相当の理由がある貨物である場合に行う税関長の輸入者に対する通知(関税法69条の11第3項の規定による通知)の取消しの訴え
本問は、②イ)に該当していますね。
したがって、本問の記述は「誤り」です。
いかがでしたか?
この「審査請求に対する財務大臣の裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができない」ものの判別は、不服申し立てのテーマにおける最頻出事項です。ここでしっかり覚えてください。
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