片山立志先生の通関士合格ポイントコラム 第37回

皆さんこんにちは、片山立志です。

今回は、関税と時効の関係に関する問題です。

問題

【次の文章を読み、○か✕か答えなさい。】

関税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができない。

正しいか、誤りか?

解答・解説

正解は、「○」です。

この一文を丸々覚えておきましょう。
関税の徴収を目的とする国の権利(納税義務者への請求権)を”関税の徴収権”といい、これは一定期間行使しないと消滅します。この関税の徴収権は、関税の法定納期限等から5年間、国が徴収権を放棄しないときは、消滅します(関税法の14条の2)。関税の徴収権については、関税法14条の2に別段の定めがないものは、民法の規定が準用されます。

次に”時効の援用”ですが、これは時効により利益を得る者が、その利益を受ける意思表示をする事をいいます。民法では、時効完成前の放棄はできないものの、時効完成後の放棄は自由にできるとされています。しかし、関税(を含む国税)はというと、時効の援用を行わなくても当然に、時効により徴収権は消滅するとされ、また時効の利益を放棄することはできません。これを消滅時効の絶対的効力といいます。

したがって、答えは「正しい」です。

いかがでしたか?
たとえば、関税の徴収権の時効成立後に関税の納付があった場合は、税関は過誤納金として、納付した関税を納付者へ還付することになる、ということですね。

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