片山立志先生の通関士合格ポイントコラム 第17回
皆さんこんにちは、片山立志です。
さて、今回は特別編です。2題連続で解いてみましょう。
問題
【次の文章を読み、○か✕か答えなさい。】
1) 輸入許可前貨物の引取り承認を受ける者が特例輸入者である場合には、当該貨物の関税額に相当する担保の提供を要しない。
2)税関の都合により輸入許可が遅延するため輸入許可前貨物の引取り承認を受ける場合には、担保の提供は不要である。
解答・解説
正解は、どちらも「✕」です。
輸入申告後、新規輸入品であるために課税標準の審査に日時がかかる場合など、税関側の事情により輸入許可が遅延するようなときや、輸入貨物が、動植
物である場合など、申告者側において、特に、引取りを急ぐ理由があると認めるときなどに、税関長の承認を受け輸入許可前に、貨物を本邦に引き取ることができます。これがBP承認制度です。そして、外国貨物を輸入申告の後、輸入の許可前に引き取ろうとする者は、承認の申請書とともに輸入貨物の関税額に相当する担保を提供して税関長の承受けなければなりません。
担保の提供不要の例外を問うている問題ですが、このBP承認に係る担保の提供は絶対に必要なもの(絶対的担保)であり、例外はありません。
したがって、1, 2ともに誤りです。
そもそも「特例申告貨物」は輸入許可前における貨物の引取制度の対象ではありません。特例輸入者がNACCSを使用して特例申告を行う場合には、この制度を利用することはできず、このように複数の論点で間違っている文章といえます。一方、2の税関の都合による貨物の到着遅延の場合についてですが、これはあくまでBP承認が行える要件を満たしているだけで、こういった事情により担保提供不要となることはありません。
いかがでしたか?
なお、この輸入許可前貨物の引取り承認は、申告納税方式をとる貨物の場合の制度です。賦課課税方式をとる貨物には、適用されないという論点にも注意してください。試験ではもっともらしく問題が出題されますから、正確な知識をつけておかないとまんまと引っかかってしまいます。
マウンハーフジャパン【通関士絶対合格通信講座】メルマガ 2023/6/29 配信分掲載