片山立志の通関士絶対合格コラム 第47回
皆さんこんにちは、片山立志です。
さて、今日はATA条約に関する問題です。
問題
通関手帳による物品の輸入をしようとする者は、輸入申告書に当該通関手帳を添付しなければならない。
正しいでしょうか、誤りでしょうか?
解答・解説
物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)に関する問題です。
【ポイント1】
ATA条約は、豪州や米国、日本といった条約加盟国内において、通関手帳(ATAカルネ)を利用することにより、一定の物品の一時免税輸入・輸出手続が簡素化されるというものです。この条約を誠実に実施するため「関税法」「関税定率法」などの特例を定めた国内法は「ATA条約の実施に伴う関税法等特例法」といいます。
【ポイント2】
日本では、一般社団法人日本商事仲裁協会が財務大臣の認可を受け通関手帳を発給しており、通関手帳には、次の役目があります。この二つの役目が重要です。
(1)輸出入申告の際に税関に提出する書類としての役目
(2)輸入税の担保書類としての役目
【ポイント3】
本問にあたっては、(1)が重要です。通関手帳は、仕入書、輸出入申告書などの通関書類としての役目があります。通関手帳で輸入する場合には、輸入申告書を提出する必要はなく、通関手帳を税関に提出し、輸入申告を行います(特例法3条1項)。輸入申告書に通関手帳を添付する必要はありません。
したがって、正解は「誤り」です。
いかがでしたか?
なお、ポイント2(2)も重要です。一般的に条件付き免税輸入を許可する場合、輸入税相当額の担保の提供を税関が指示することがありますが、通関手帳による場合には、輸入税の担保書類の役目をもっているため、このような担保提供を指示されることはないのです。この規定も一緒に押さえておきましょう。
マウンハーフジャパン【通関士絶対合格通信講座】メルマガ 2022/7/17 配信分掲載