片山立志の通関士絶対合格コラム 第41回
皆さんこんにちは、片山立志です。
今回は、関税と時効の関係に関する問題です。
問題
関税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができない。
正しいか、誤りか?
解答・解説
民法が関係するので難しい文章ですが、頑張ってついてきてください。
【ポイント1】
関税の徴収を目的とする国の権利(納税義務者への請求権)を関税の徴収権といい、これは一定期間行使しないと消滅します。これが”消滅時効”です。関税の法定納期限等から5年間、国が徴収権を放棄しないときは、関税の徴収権は、消滅します。(関税法の14条の2)
そして、関税の徴収権については、関税法14条の2に別段の定めがないものは、民法の規定が準用されます。
【ポイント2】
次に”時効の援用”ですが、これは時効により利益を得る者が、その利益を受ける意思表示をする事をいいます。時効完成後、時効により利益を得る者が、その利益を受けない旨の意思表示することを、”時効の援用”といいます。民法では、時効完成前の放棄はできないものの、時効完成後の放棄は自由にできるとされています。(民法146条)
【ポイント3】
しかし、関税(を含む国税)はというと、時効の援用を行わなくても当然に、時効により徴収権は消滅するとされ、また時効の利益を放棄することはできません。これを消滅時効の絶対的効力といいます。
したがって、答えは「正しい」です。
いかがでしたか?
たとえば、関税の徴収権の時効成立後に関税の納付があった場合は、税関は過誤納金として、納付した関税を納付者へ還付することになる、ということですね。
マウンハーフジャパン【通関士絶対合格通信講座】メルマガ 2022/6/15 配信分掲載